2025年4月16日(月)午前11時から、HPVワクチン薬害九州訴訟の口頭弁論期日が開かれました。
4月に裁判長が交代となりました。
1月27日に被告側GSKが証人申請をし専門家証人として証言した脳血流SPECTの専門家である畑澤順氏に対する原告側からの反対尋問が行われました。
畑澤証人は主尋問で、原告らが提出した脳血流SPECT検査結果では異状が認められないなどと述べられていました。
これを受けて、弁護団の岡田佳那美弁護士、前田牧弁護士、中西一裕弁護士が、畑澤証人に対して畑澤証人に対して、一問一答の反対尋問を行いました。
反対尋問では、畑澤証人はHPVワクチンの副反応被害を訴える患者の診察例はないこと、脳血流SPECT画像を確認したのは被告GSKから提供を受けた原告3~4名分であることが明らかとなりました。
弁護団からは脳血流SPECT検査が脳血管障害、認知症、てんかん以外の脳疾患の診断においても有用であり実際に新型コロナ感染後遺症、ハンチントン病などの診断に活用されていること、研究途上の疾患群についての臨床データの蓄積過程で脳血流SPECTが有用であること、証人の反論を踏まえても原告の脳血流SPECTの報告の信用性には問題がないことなどを指摘しています。
畑澤証人も、脳血管障害、認知症、てんかん以外では実臨床で脳血流SPECTが行われることは基本的にはないと意見書に記載していたところ、病態解明を目的とする研究で脳血流SPECTが有用であることを認めていました。
他方で、畑澤証人は、尋問のなかで聞かれていないことを答え、原告側で提出した論文の共著者の専門領域について誤認した発言などもありました。新型コロナ感染後後遺症の病態解明のために広くSPECTが行われている事実を認めず、またSPECT検査の保険適応の範囲・実情について独自の見解を繰り返し述べていました。
弁護団としては、畑澤証人の反対尋問を経て、畑澤証人の証言内容からしても、原告がHPVワクチン接種後副反応症状を発症したことは否定されるものではないと確信しました。
裁判期日終了後には、福岡県弁護士会館にて報告集会が開かれ、たくさんの支援者の方にご参加いただきました。
報告集会のなかでは、地元の市議会議員である森あやこ議員、長野さとし議員らが、身体に取り入れるワクチンについては副反応も含め、正しい情報を届けることが重要であると応援のメッセージをいただきました。
また、薬害肝炎原告団の出田妙子さんからは、原告を招いた勉強会を開催したことの報告があり、男子へのHPVワクチンの接種の動きについては阻止しなければならないとの訴えがありました。
原告からも、畑澤証人に対して、医学は研究の積み重ねで確立していくもので畑澤証人のようにただ批判するだけの姿勢でよいのか、高嶋先生のような目の前の患者を治療しようとする姿勢があるべき専門家の姿勢ではないのかとのコメントがありました。
また翌週の4月21日(月)午後2時からは、被告側MSDが証人申請した自律神経障害の専門家であり心療内科の本郷道夫氏の主尋問が行われました。本郷証人は、原告の25名分の医療記録を見たところ原告らに神経学的な異常はみられなかった、既知の疾患名で診断することができる、原告らの症状の原因をHPVワクチンと考えることはできないといった証言がありました。
期日終了後に開かれた報告集会では、期日を傍聴した原告や原告の家族から実際に遊びに出かけることができているように見えても症状で制限されたり準備を要していることや、治療効果などを踏まえて本郷証人の証言のおかしさについていくつも疑問が呈されました。
他にも、キャッチアップ接種者に対する葉書が届いて悔しかった、副反応被害のため成人式に参加できなかった子がいたということを聞いて自分たちの行動を広げていかないと新たな被害者を生んでしまうなどのお話もなされました。
各地での副反応被害の勉強会の開催、裁判を記録した上映会の開催、大分ではHPVワクチン副反応被害をテーマにした演劇の上演予定など支援の輪が広がっていることに励まされます。
次回の期日では、弁護団より、本郷証人に反対尋問を行い、本郷証人の証言の誤りを明らかにしたいと思います。
次回の九州期日は7月16日(水)11時~本郷証人の反対尋問です。引き続きご支援のほどよろしくお願いします。
<九州訴訟の今後の予定(2025年)>
7月16日(水)11時~ 被告側専門家本郷証人・反対尋問
10月20日(月)14時~ 原告本人尋問
~期日後報告集会の様子~














