平成29年6月30日、名古屋地方裁判所においてHPVワクチン薬害名古屋訴訟の第3回口頭弁論期日が開かれました。第3次提訴の原告さんが加わって、初めての口頭弁論期日でした。
あいにくの空模様で、当初予定していた期日前集会を実施することができませんでしたが、入廷行動の際には幸い雨もやみ、大勢の支援者のみなさんが拍手で送り出して下さいました。
今回の期日は、必ずしも体調の優れない中、大勢の原告さんご本人が法廷に来場しました。この間、各方面で支援の輪が広がっており、大勢の支援者の方に集まっていただいたおかげで、傍聴席は満席となり、いつも以上に熱気を帯びた法廷となりました。
傍聴席に入ることができなかった方には、裁判所隣の弁護士会館5階ホールにお集まりいただき、記者会見と報告集会までの間の法廷外特別企画として、弁護団からこの訴訟の概要をわかりやすくご説明申し上げました。
法廷では、3次提訴した被害者の中から、原告12番さんが意見陳述を行いました。
接種後の疼痛に苦しむ日々が続く中、学校内で突然失神し、自分や友人の名前もわからなくなるような記憶障害に陥った12番さんは、日記などを手がかりとして自分の過去を辿り直そうとするけれども、十分に思い出せないことへの焦燥感にさいなまれていることを切々と語りました。そして、最近も再度の失神症状に陥っており、日々の疼痛や体調不良に加えて、次に失神した際には意識が戻らないのではないかとの恐怖を感じていることを、裁判官の目を見ながらしっかりと訴えました。
「痛む体と何もわからないことに対して涙し、恐怖と怒りに耐えながら、病室でひとり過ごした夜のことを、これからも夢に見るでしょう。」
「楽しい夢を見られる夜が、思い出を取り戻せる日が、一日も早く来るときを待っています。」
このように語った12番さんの切実な思いは、傍聴席から耳を傾けた多くの支援者のみなさんの心に大きく響いたはずです。
原告さんの意見陳述に引き続き、弁護団から川瀬裕久弁護士が今回提出した準備書面の内容に沿って、意見陳述を行いました。川瀬弁護士からは、実際に被害者の方の診察に当たって研究を続けている臨床医の方の研究成果を紹介した上で、過去の薬害事件を引用しながら、権威というものが常に正しいとは限らないこと、こうした経験に学ぶべきであることを、法廷で説明しました。
期日終了後、記者会見が開かれました。
記者会見では、改めて原告12番さん、川瀬弁護士から意見陳述の感想や意見の概要を紹介しました。
また、会見では、原告17番さんのお父さんが、娘さんの被害を見つめてきた立場からの切実な思いを語りました。
大切に育ててきた我が子が元気に学校生活を送っていたのに、HPVワクチン接種をきっかけとして変調を来すようになり、頭痛や吐き気、全身の疼痛、けいれんなどの症状のために高校を休学せざるを得なくなって、娘のかけがえのない青春時代が奪われてしまったこと。その被害を周囲に理解してもらえないもどかしさ。
これらを親としての立場から見てきた心境を語った17番さんのお父さんは、自分の娘がこの裁判に加わることで、被害を受けた多くの方の気づきの呼び水になることを願っていると、来場した大勢の記者に説明しました。
大勢駆けつけて下さった支援者のみなさんからは、記者会見に引き続いて行われた報告集会で、勇気を出して意見陳述した12番さんをはじめとする被害者とそのご家族に対する温かい激励のお言葉を、たくさんいただきました。
こうした発言の1つ1つが、この裁判を闘う原告さんにとって、とても大きな励みになったと思います。
この裁判は東京・大阪・九州でも闘われています。
報告集会では、名古屋の期日へ応援に駆けつけた各地の原告さんと弁護士から、それぞれの地域での裁判の進行状況を説明しました。
名古屋原告団からは、大勢の方に集まっていただいたことを御礼を申し上げ、引き続きのご支援をお願いしました。
集会が終わるころには、その熱気に押されたかのように、それまでの梅雨空が嘘のような夕暮れの日差しが輝いていました。
次回期日は、10月31日です。
どうか引き続きご支援下さい。