東京訴訟第3回期日が開かれました

2017年8月23日、東京地方裁判所において、東京訴訟の第3回口頭弁論期日が開かれました。東京は8月とは思えない雨続きの日が続いていましたが、雨も降らず、無事に期日を迎えることができました。

裁判所正門前には大勢の支援者が集まり、期日前集会を行いました。傍聴券の抽選にも200名を超える希望者が並び、傍聴席も熱気で一杯となりました。

裁判所前での期日集会の様子
裁判所前での期日集会の様子

法廷に入れなかった大勢の支援者は、弁護士会館2階で行われた法廷外集会に参加し、被害実態を伝える弁護団作成のビデオをみた後、被害者やその家族との交流をしました。

薬害肝炎原告の浅倉美津子さん(左)からの応援メッセージ
薬害肝炎原告の浅倉美津子さん(左)からの応援メッセージ

本日の法廷では、まず弁護団の関口正人弁護士が、ワクチンと副反応との間の法的因果関係を説明した準備書面の概要を、口頭で説明しました。

関口弁護士からは、法的因果関係は自然科学的な証明とは異なり、機序の証明や疫学的な証明も不要であり、一般人の常識的判断に照らして総合評価することで判断されるという前提が説明された上で、運動系・感覚系・自律神経内分泌系・認知情動系の障害という多系統の多様な症状が一人の患者に複数重なって出現するという特徴がワクチン接種後の被害者に共通して認められることや、HPVワクチンによってこうした症状が起きることは医学的に十分説明できること、ワクチン以外に説明しうる原因がないこと等を総合すると、本件では優に法的因果関係が認められることが説明しました。

東京原告団の横断幕とパネル
東京原告団の横断幕とパネル

引き続いて東京原告1番である酒井七海さんが、意見陳述を行いました。

酒井さんは、本来は第1回口頭弁論で意見を陳述する予定でしたが、病状の悪化で裁判所に来ることがかなわず、今回の陳述実施となりました。
車椅子に座って証言台前に進んだ酒井さんは、高校1年生だった16歳のときにサーバリックスの接種を受け、その後から生理不順、失神、激しい頭痛等が生じるようになり、学校の階段で失神し救急車で搬送されたことや、文章や図形が理解できなくなる認知機能の障害が生じた状況などを説明しました。

また、酒井さんからは、これまでに入院は29回に及び、もう一度自分で歩けるようになる日が来ることを願って厳しい治療に耐えているものの、症状は進行し、今は、自分では寝返りも打てず、日常生活を母にすべて介助してもらう状態となっている状態であることを語りました。

そして、このような状態にもかかわらず厚生労働省の調査では重篤症例にカウントされていないことなどから、国と製薬企業に被害に向き合ってもらいたいと訴訟への参加を決意したこと、自分の夢は弁護士で被害者として法廷に立つことが悔しいが、当事者として声を上げることは今の自分にしかできないことだと述べ、自分に起きていることを直接伝えたい、国と企業には、わたしたちの人生が変わってしまったことを認めて、適切な治療を受け、被害があっても生活していけるように求めたいと話しました。

酒井さんから発せられる静かな言葉の、その1つ1つのこの上ない重さを、傍聴に詰めかけた大勢の支援者が心から受け止めた法廷となりました。

今日の法廷で意見陳述を行った酒井七海さん(中央)
今日の法廷で意見陳述を行った酒井七海さん(中央)

期日後の記者会見で、酒井さんからは、意見陳述の感想を説明しました。酒井さんからは、原告の半数は成人近い年齢となり、学生でもなく、働くこともできず、居場所が失われているため、安心して暮らせる仕組みを作ってほしいという話がありました。また会見に同席した酒井さんのお母さんからは、病状に翻弄される娘の姿を見てきたつらさや、一生懸命治療法をさがしてくれている医師たちを批判するような製薬会社の主張に対する失望の気持ちが説明されました。

期日後報告集会と薬害根絶デー2017前日集会
期日後報告集会と薬害根絶デー2017前日集会

記者会見と並行して、弁護士会館2階では、期日後の報告集会と、明日の薬害根絶デーの前日集会が行われました。

薬害肝炎九州原告の小林邦丘さんやサリドマイド被害者である増山ゆかりさんからは、ご自身が薬害訴訟を闘ってきたときの苦しさを思い出しながら、今まさにHPVワクチン薬害訴訟を闘っている原告さんに向けて、温かい励ましのメッセージをいただきました。

原告団への熱いエールを下さった薬害肝炎原告の小林邦丘さん
原告団への熱いエールを下さった薬害肝炎原告の小林邦丘さん

次回の東京期日は2017年11月22日(水)です。
明日の薬害根絶デーともども、大勢の方のご来場をお待ちしています。

薬害根絶デーのシンボルマーク
薬害根絶デーのシンボルマーク
薬害根絶デーうちわ(左)と東京訴訟ネットワークニュース(右)
薬害根絶デーうちわ(左)と東京訴訟ネットワークニュース(右)