名古屋訴訟第5回期日が開かれました

12月21日、HPVワクチン薬害名古屋訴訟の第5回口頭弁論期日が開かれました。

今回、初めてのぼり旗が登場しました。これは、全国B型肝炎訴訟を闘った北海道の原告の方からご提供いただいたもので、名古屋原告団のイメージカラーの黄色の旗には、北海道在住の原告さんが所属する東京原告団のスローガンである「KEEP HOPE ALIVE」の下に「望むのは普通の生活、ただそれだけ」という名古屋原告団のスローガンが染め抜かれています。

支援の輪が確実に拡がっていることを、改めて実感しました。

師走の寒さ厳しい中ではありましたが、幸いにも晴天の下で期日前集会を行うことができました。大勢の方が早くからご参集下さり、暖かい応援のメッセージを原告に送って下さいましたので、とても元気づけられました。

本日の法廷では、原告17番さんご本人とお母さんが意見陳述を行いました。北陸地区在住の原告が法廷で意見を述べるのは、全国でもはじめてです。

17番さんは、常に頭痛がある上に、全身の骨を針で刺されたような痛みがあるため通学もままならない状態にあります。今の体調では、片手で杖を持ち、教室に入ることが精一杯で、帰宅後は、緊張と痛みに耐えていた反動で凄まじい疲労と吐き気をもよおして、立っていることも難しい状態となります。今年の2月には入院先の病院で記憶を失ってしまい、今も十分に回復していません。

17番さんは、自らが直面するこうした副反応被害の苦しみを、裁判官の方をしっかりと見つめながら語りました。途中、仲の良い友人から励まされてきたことに話が及ぶと、涙をこらえきれない場面もありました。

「風を切って走る、泳ぐ、ここでは言い切れないくらいやりたいことが沢山あります。素敵な思い出をたくさん作りたいのです。」

「いつか、あの時は辛かったと笑って言えるような未来を私にください。」

17番さんは、まだ将来をあきらめずに治療を続けていく決意であることを述べて、意見陳述を締めくくりました。

報告集会で挨拶する17番さん(左)と母
報告集会で挨拶する17番さん(左)と母

続いて17番さんの母が、意見陳述を行いました。

無償で接種を受けられる期限が書かれた通知を受け、接種をしければならないと受け止めて娘に接種をさせてしまったこと。

接種前には、寝込むほどの生理痛、歩行困難、痙攣、脱力といった身体症状が出ることも、言葉を理解できないような認知障害や記憶障害が生じることも全く説明がなかったのに、接種後の娘は現にこうした症状で苦しみ続けていること。

母を母として認識できなくなってしまった娘から「身体がこんなでも捨てないでね。どこにも行くところがないんです。ここにいてもいいですか?」と泣きながら訴えられたこと。

17番さんの母は、このように戸惑いと悲しみに明け暮れる日々が続いていることを、被告代理人席をしっかりと見据えながら語りました。

「私は、よりよく生きる為にこのワクチンを接種させました。しかし、それが娘の人生の妨げになってしまったのです。」

「どうか、このワクチンを開発していた時と同じかそれ以上の情熱を注いで一日も早く治療法を解明してください。そして、娘たちをもとの位置に戻してください。」

17番さんの母は、被告らがこうした被害にきちんと向き合うことを強く求めて、陳述を終えました。

弁護団からの意見陳述では、名古屋訴訟原告17番さんを含む多くの原告がHPVワクチン接種を受けるきっかけとなった被告国による緊急促進事業が、予防接種法上の位置づけを欠いたまま巨額の公費が投入された極めて異例の政策であって、その実施に至る過程では、被告GSKとMSDから資金提供を受けた団体のプロモーションの影響を受けた政治決定が存在しており、科学的検討が欠けていたこと等を説明しました。

期日終了後は、桜華会館内にて記者会見と報告集会を行いました。

報告集会では、支援者の方から激励のコメントをいただきました。若手の薬剤師の方にも多数来場いただき、薬を扱う専門家としての立場から、現に発生している被害に向き合おうとしない製薬企業の問題点を指摘いただきました。

次回第6回期日は、来年3月6日午後2時から行われます。
引き続き大勢の方のご参加を、心よりお待ちしております。