もし自分の子だったら~HPVワクチン薬害大阪訴訟第11回口頭弁論期日

 2019年5月28日、元号が令和になってから初めての大阪訴訟弁論期日が開かれました。

 この日は朝から雨が降る中、弁護団が淀屋橋駅前で拡声器を用いて期日を告知し、この訴訟への支援を訴えました。

 あいにくの天気であったにもかかわらず、大阪地方裁判所には多くの方が傍聴券を求めて集まり、傍聴席は満席となりました。

 本日の法廷では、原告12番さんの意見陳述と弁護団のプレゼンテーションが行われました。

 原告12番さんの意見陳述では、ワクチン接種後、過呼吸や体中を金づちで殴られ続けるような痛みが発現し、それ以降、右手の力がなくなる、握力が急に落ちる、手足の痺れ、冷え、授業中黒板の文字が二重に見える、ふらつき、一日に何度も意識を失い倒れる、多汗、食事中によくむせる、夜眠れない、物の距離感がつかめない、一人で歩けない、尋常ではない眠気に襲われる、学校のトイレの場所が覚えられなくなる、右側が見にくい、友達と遊びに行っても翌日には忘れている、家族や友達のことを忘れるといった、本当に多種多様な症状が生じたことが語られました。

 このような症状が生じて不安でたまらなくなり病院に行っても、「10代特有の症状」と片付けられ、12番さんはとてもつらい思いをしたそうです。

 また、記憶障害により母の顔もわからなくなり、12番さんにとって「仲のいい友達のような」人という感覚しか持てておらず、このように母のことを忘れてしまったことについては、母に対して「記憶をなくしてしまってごめんなさい」と謝りたい気持ちであることを、12番さんは新たに赴任した裁判長に向かって説明しました。

 12番さんは被告ら代理人に向かって、自分の子供がある日突然自分のことを父や母と認識してくれなくなり「お子さんは心の病気です」と言われたら納得できますか、と静かに呼びかけ、被害者の悲しみや苦しさに心を寄せてほしいと述べて、法廷での意見陳述を締めくくりました。

期日終了後の記者クラブでの原告団・弁護団会見
期日終了後の記者クラブでの原告団・弁護団会見

 弁護団のプレゼンテーションでは、被告である国が、マウス実験にかかわる論文、祖父江班調査、名古屋調査を根拠に因果関係を否定していることについて反論を行いました。

 国は、マウスを用いてHPVワクチンの危険性を示した論文について、百日咳毒素を併用した実験であることを批判しています。しかし、その方法はマウスによる毒性実験においてゴールデンスタンダードとされる普遍性を持つものであり、国の認識には根本的な誤りがあります。弁護団は法廷でスライドを用いてこうした国の主張の問題点をわかりやすく解説しました。

 このように法廷内での審理が進行する中、弁護団による法廷外企画を今回も開催し、今日の法廷に提出された原告と被告らの主張の内容を傍聴できなかった皆さんに向けて分かりやすく解説し、法廷で行われた弁護団のプレゼンテーションと同じ内容を、来場された方に向けてお伝えしました。

 期日後に行われた報告集会では、弁護団から期日で行われたやりとりについての報告が行われました。来場された支援者の皆さんからは、今日の法廷を傍聴して原告の言葉に共感し、被告らの主張に憤りを感じたことを率直に語って下さり、HPVワクチン薬害が見過ごすことのできない重要な問題であり、支援の和をより一層広げていく必要があることを、それぞれの立場から呼びかけて下さいました。

 同じ会場で引き続き行われた茶話会では、和やかに交流を深めることができ、被害者の皆さんをこれからも支えてこうという思いを、より一層実感を持って確かめ合えたように思います。

 次回の大阪訴訟期日は2019年9月12日(木)です。

 傍聴抽選用紙配布は午後1時ころからの予定ですので、余裕をもってご来場いただければと思います。
 今後とも引き続きご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。