九州訴訟の期日・オンライン報告集会が行われました

 2021年10月18日(月)、九州訴訟の期日が開催されました。

 今回も新型コロナウイルスの影響により、公開法廷ではなく、ウェブによる弁護士のみの手続となりました。

 期日では、原告、被告製薬企業より提出された主張書面の確認のほか、今後の原告の主張内容や裁判の進行スケジュールについても意見交換がなされました。

 当日の午後6時から開催したオンラインでの報告集会には、全国各地から約50名の方にご参加いただき、裁判の進捗状況のほか、原告の思いやHPVワクチンをめぐる情勢を共有しました。

 報告集会では、まず九州弁護団代表の小林洋二弁護士から情勢報告を行いました。HPVワクチンの積極的勧奨再開に向けた動きとこれに対して弁護団や原告団、支援者が反対の声をあげていることの報告がなされました。

また、原告が準備書面41で主張した被告国、被告製薬企業の共同不法行為責任について、主にマーケティング活動に焦点をおいた内容について、中山篤志弁護士より報告しました。

 

 被告製薬企業は、国によるHPVワクチンの承認から接種促進政策の策定・実施に向けての国や地方自治体に対する諸活動は適法であり、策定や実施に影響を与えていないと主張しています。しかし実際には、被告製薬企業はHPVワクチン供給に対して国と密接不可分な協働関係にあり、加えて被告製薬企業による緊急促進事業実施や定期接種化に向けたロビー活動、マーケティング活動などの働きかけは各種規制を逸脱していました。緊急促進事業の実施は、被告国によれば「医療上、社会上の要請」などに基づきなされたことになっていますが、これは被告製薬企業によるロビー活動や、マーケティング活動によって作出されたものです。中山弁護士より、かかる被告製薬企業による働きかけについて分かりやすい説明がなされました。

また、九州原告の4名より現在の体調や今の思いについてお話を伺うことができ、弁護団、支援者ともに今後も寄り添う支援を行っていく決意を新たにしました。それぞれ、大変な思いをしながらも、裁判や報告集会に参加し、自分たちのような被害者を増やしてはいけない、副反応に苦しむ被害者が治療を受けられるようにと声をあげている原告たちの姿に本当に頭が下がる思いです。

支援の会の方からは、HPVワクチン積極的勧奨再開の審議の際に急遽抗議活動を行ったことや、SNSで積極的に原告がHPVワクチンの副反応で苦しんでいることを発信していることなどの報告を受け、大変励まされました。

 次回九州期日は、来年2022年1月17日(月)14時と指定されています。次回は、久しぶりに公開法廷で期日が開かれることを期待しています。引き続き裁判内外でのご支援のほどよろしくお願いいたします。