自民議連要請:補足資料

 

補足資料

 

「HPVワクチンの積極的勧奨再開の要望」における子宮頸がんの疫学的状況、HPVワクチンの有効性及び安全性に関する記載の問題点

 

 

 

HPVワクチンの積極的勧奨再開を目指す議員連盟の令和3年3月29日付「HPVワクチンの積極的勧奨再開の要望」(以下、「議連要望書」と表記します)に示された子宮頸がんの疫学的状況、HPVワクチンの有効性及び安全性に関する記載の問題点について、下記のとおり補足して意見を述べます。

 

 

 

第1 子宮頸がんの疫学的状況

 

1 子宮頸がんの罹患率・死亡率について

 

議連要望書においては、「ヒトパピローマウイルスを原因とする子宮頸がんは、罹患率・死亡率がともに増加しており、特に20代〜30代の若い女性に多い」と記載されています。

 

しかし、このような指摘は誤りです。

 

がんの罹患率・死亡率は人口高齢化の影響を受けるため、その推移を見るときは年齢調整を行うべきですが、国立がん研究センターが公表するがん情報サービスのデータベースによれば、近年の子宮頸がんの年齢調整罹患率は2011(平成23)年の15.2%がピークであり、そこから増加する傾向はありません(別紙1)。また近年の子宮頸がんの年齢調整死亡率は、2014(平成26)年の2.9%がピークであり、そこから増加する傾向はありません(別紙1)。罹患率・死亡率ともに、2010年代以降はほぼ横這いの状態です。

 

また、20代〜30代の子宮頸がん罹患率及び死亡率は、近年、減少傾向にあります(別紙2)。

 

なお、上皮内がん(がん細胞が上皮にとどまっている状態です。上皮から基底膜を越えて浸潤した場合に一般的な「がん」(浸潤がん)になります。)まで含めると、2000年代後半に、若い女性の子宮頸がんの罹患率の上昇が見られます。しかし、これは、それまでがんになる前の高度異形成(CIN3)としていたものを上皮内がんに含めるという分類基準の変更等があったために見られる現象であり、この時期に若い女性で子宮頸がんの罹患者が増えたことを意味しません。

 

近時、HPVワクチンを推奨する立場からは、子宮頸がんのリスク、特に若年女性における子宮頸がんのリスクが不当に強調される傾向にあります。例えば、日本小児科医会は「毎年約10000人の若い女性が子宮頸がんを発症し、毎年約3000人が尊い命を落としています。」と記載したポスターを制作しています(2021(令和3)年4月14日現在の内容)。しかし、毎年約1万人の発症者というのは、高齢者を含めた全年齢のデータであり、上記は明らかに誤った情報です。また、東京都小児科医会、東京都産婦人科医会、東京都医師会は、たとえば2018年には子宮頸がんによる死亡者のうち20~30歳代の女性は137人(死亡者全体の5%)にとどまるのに、「毎年約3000人の若い女性が命を失っています」と記載したリーフレットを頒布し、指摘を受けて後日訂正しています[1]

 

HPVワクチンの積極的勧奨を再開すべきか否かという政策判断に関して、このような虚構の事実を前提とした要望をすることは許されません。

 

 

 

2 子宮頸がんの予防状況について

 

議連要望書は、「わが国では2013年にワクチン接種の積極的勧奨が差し控えられ、適切に予防が図られているとは言えない」と述べています。

 

しかし、以下に述べるとおり、子宮頸がん予防の方法としては、子宮頸がんの罹患率・死亡率を減少させることが実証されている子宮頸がん検診を重視すべきであり、いまだに子宮頸がんそのものの予防効果が実証されていないHPVワクチンの積極的勧奨が行われていないことのみをもって、「適切に予防が図られているとはいえない」と評価するべきではありません。

 

 

 

⑴ 子宮頸がん検診は効果が実証されていること

 

子宮頸がんの罹患率・死亡率を減少させることが実証されている予防手段は子宮頸がん検診です。検診は、HPVワクチンと異なり、HPVの型を問わず、既に感染している人にも効果があります。

 

日本の子宮頸がん検診受診率は年々向上し、2019(令和元)年には43.7%となっています[2]

 

また、2020(令和2)年7月、国立がん研究センターは2009(平成21)年に公表した「有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン」を更新し、従来の細胞診単独法に加え、HPV検査単独法、細胞診・HPV検査併用法のいずれについても、浸潤がん罹患率減少効果のエビデンスがあることを指摘しました[3]。現在、HPV検査に有用性及び必要性があることを前提に、最適な導入方法に関する研究が進んでおり(厚生労働科学研究「子宮頸がん検診における細胞診とHPV検査併用の有用性に関する研究」)、子宮頸がん検診は、今後さらに精度の高い、効果的なものになっていくことが見込まれています。

 

 

 

⑵ HPVワクチンによる子宮頸がん予防効果は証明されていないこと

 

一方、HPVワクチンの効果として実証されているのは、HPV感染及びそれによる前がん病変の予防効果のみであり、子宮頸がんそのものを予防する効果は、未だ証明されてはいません。前がん病変の予防効果の持続期間は明らかになっておらず、対象とするHPVの型も限定的であり、既に感染している人には効果がありません。

 

2019年に発表されたReesLondon医歯学部公衆衛生研究所世界公衆衛生センター)らの論文は、HPVワクチン(ガーダシルないしサーバリックス)の子宮頸がん予防に関する第2相及び第3相の効能試験について、①子宮頸がんの予防効果を測定できるようにデザインされていなかった、②試験ではCIN1(軽度異形成)を含む複合的代替評価項目が用いられたが、CIN1+に対する高い効力は必ずしも発生頻度がはるかに低いCIN3(高度異形成)+への高い効力を意味せず、また、HPVワクチンがCIN3+を予防することを明確に結論付けるにはデータが乏しすぎる、③多くの国でワクチン接種プログラムの対象となる年齢の少女における効力は免疫反応レベルを測定する試験を用いて推測されてきたが、どのくらいの抗体値なら子宮頸がんやその前駆状態への保護効果があるといえるか、あるいは保護作用がどのくらい続くかについては不明である、④多くの試験で複数の検出力不足のサブグループ分析がなされており、偽陽性(false-positive)の結果を増やした可能性がある等の問題を指摘し、それらがワクチンの効力についての不確実性をもたらしている、と結論づけています[4]

 

 

 

⑶ HPVワクチンを早期導入して接種率が高い国で、接種世代の子宮頸がんが増加傾向にあること

 

オーストラリアでは2007年、英国では2008年に、HPVワクチンが導入され、接種率が高い国です。

 

しかし、ワクチン接種世代における子宮頸がんは減少していません。

 

そればかりか、オーストラリアでは、HPVワクチン接種を受けていないと考えられる50歳以上の高齢層の子宮頸がん発生率が低下し続けている一方で、ワクチン接種年代において、HPVワクチンの導入以降の子宮頸がん発生率は減少しておらず、横ばいかむしろ増加傾向にあります(別紙3)。

 

英国でも、同様に、ワクチン接種を受けていない50歳以上の高齢層の子宮頸がん発生率の低下とは対照的に、ワクチン接種世代における子宮頸がん発生率は微増しています。Cancer Research UKも、25~29歳における子宮頸がん発生率の増加を公表し、HPVワクチン導入後の「10年にわたる前進の欠如」を指摘しました(別紙3)。

 

 

 

第2 議連要望書における「エビデンス」に対して

 

1 議連要望書が列挙する論文は、HPVワクチンの有効性や安全性を基礎づけるものとはいえないこと

 

  議連要望書は、「ここ数年、HPVワクチンの有効性や安全性について、新たなエビデンスが積み重ねられている」として、いくつかの論文を挙げています。しかし、以下のとおり、これらは、HPVワクチンの有効性や安全性を基礎づけるエビデンスたり得るものではありません。

 

 

 

 2018 Papillomavirus Research 「日本の若年女性においてHPVワクチンと接種後の症状には関連があるとはいえない(名古屋スタディ)[5]

 

これは、いわゆる「名古屋スタディ」についての鈴木貞夫氏(名古屋市立大学教授)による論文であり、著者は、対象となった24症状のいずれについても、ワクチン接種群と非接種群との間に、発症率の有意な差はなかったと結論づけています。

 

この結論を導くにあたり、鈴木氏はロジスティック回帰分析という解析モデルを用いて年齢調整を行っています。

 

統計学上、この手法を用いるには、①年齢と症状経験割合との間に線形性の関連があること、②年齢の症状経験への影響が比較する2群(接種群と非接種群)の間で類似していること、③ワクチン接種の有無と年齢との間に有意な交互作用がないこと、という3つの前提条件を満たすことが必要です。ところが、公開されている名古屋市調査のデータを用いた他の研究者による解析[6],[7]、及び当弁護団による解析[8]によれば、名古屋市調査のデータは上記①〜③の条件をいずれも充たしていませんでした。したがって、鈴木氏の解析は誤りというほかなく、この論文をもって、HPVワクチンと接種後の症状との間に関連性がないことの根拠とすることはできません。

 

なお、他の研究者の解析からは、名古屋市調査の回答結果は、健康者接種バイアス(もともと健康状態が悪い人ほど接種を回避するため、非接種群に健康状態の悪い人が多くなるという偏り)の影響を強く受けていることが推測されています。このような健康者接種バイアスを考慮した層別解析や、交互作用を考慮した方法による解析では、HPVワクチンの副反応を特徴付ける一部の症状の発症率に有意差がみられており、それらの症状とHPVワクチンとの因果関係を示唆する結果となっています。

 

 

 

 2019 Lancet Public Health 「オーストラリアにおける子宮頸がん撲滅までの予測期間[9]

 

この論文は、オーストラリアでの2020年から2028年までの子宮頸がんの発症の減少を予測したものです。

 

しかし、この論文は、オーストラリアにおける高精度の子宮頸がん検診と、高い検診受診率を前提としたものであり、これをもってHPVワクチンで子宮頸がんを撲滅できると予測したかのように紹介することは誤りです。

 

また、この論文は、ワクチンがその対象とするハイリスクHPVに対して100%の子宮頸がん予防効果を有し、その効果が生涯にわたって継続するという科学的な根拠の乏しい仮定を前提としたモデリング研究に過ぎません。

 

そもそも、オーストラリアでは、ワクチン接種世代における子宮頸がん発生率が減少せず、増加傾向にあることは前述のとおりで、この論文の予測の誤りは既に示されているといえます。

 

以上のとおり、この論文は、HPVワクチンの有効性のエビデンスたり得るものではありません。

 

 

 

 2020 Lancet Public Health 「日本のHPVワクチン忌避が子宮頸がんの発症に与える影響[10]

 

この論文は、仮に2013年以降もHPVワクチンの接種率が70%前後で維持されたとした場合の子宮頸がん罹患と死亡の減少を予測したものです。

 

しかし、この論文も、前(2)論文と同様、科学的に証明されていない期待を仮定として設定して予測したモデリング研究に過ぎず、HPVワクチンの有効性のエビデンスたり得るものではありません。

 

 

 

 2020 NEJM 「HPVワクチンと浸潤子宮頸がんのリスク[11]

 

この論文は、2006年から2017年までに10~30歳になるスウェーデン内の約167万人の女性を追跡調査し、10万人当たりの浸潤子宮頸がんの発生数を比較した論文であり、接種群の方が浸潤子宮頸がんのリスクが低いと結論づけたものです。

 

しかし、本研究は、30歳までのデータに過ぎず、31歳以降の子宮頸がんについては何も示していません。

 

HPVに感染しても、ほとんどの場合は、がんになる前に自然に排出され、排出されずに持続感染したもののごく一部が数年から数十年かけてがんになると考えられています。若年層での子宮頸がん罹患はそもそも稀であり、日本での30歳未満の子宮頸がん罹患者は、全年齢の罹患者のうち約2%です(2017年罹患者数に基づく割合)[12]

 

したがって、HPVワクチンによって生涯の子宮頸がん罹患が減少するのかは未だ不明であり、子宮頸がんを予防する効果が実証されてないことに変わりはありません。

 

 

 

 2020 British Medical Journal 「デンマークの女性における4価HPVワクチンと自律神経機能障害の関係[13]

 

この論文は、2007~2016年における、デンマーク生まれの10~44歳の女性のうち、慢性疲労症候群、複合性局所疼痛症候群及び体位性起立性頻拍症候群の診断を受けた女性について、HPVワクチンの最終接種から1年後までの「リスク期間」とそれ以外の期間の罹患率を比較したものです。

 

しかし、感覚系障害、運動系障害、認知・情動系障害、自律神経・内分泌系障害等、多様な症状が1人の患者に重層的にあらわれるという特徴を有するHPVワクチン副反応の症状は、この研究で対象とされた3つの症候群とは必ずしも一致せず、日本の副反応患者をみても、すべてがこれらの症候群の診断を受けているものではありません。したがって、これらの症候群を用いた本論文の研究では、HPVワクチン副反応のリスクを正しく検出できません。

 

また、長期間を経て発症・診断がなされることがあるHPVワクチン副反応に対して、最終接種から1年間(初回接種からは1.5年)とされるリスク期間は短すぎるなどの問題もあります。

 

 

 

 2021 British Medical Journal 「韓国の思春期女性におけるHPVワクチンと重篤な有害事象の関係[14]

 

この論文は、韓国において2017年にHPVワクチンの接種を受けた11~14歳の女子における33の重篤な有害事象の罹患率について、非接種者と比較した論文です。

 

しかし、前(5)のデンマーク研究と同様に、この論文で調査対象とされている33の重篤な有害事象も、多様な症状が1人の患者に重層的にあらわれるHPVワクチン副反応とは病態が異なっており、このような研究ではやはりHPVワクチン副反応のリスクを適切に検出することはできません。

 

 

 

2 小括

 

以上のとおり、議連要望書がHPVワクチンの有効性・安全性のエビデンスとして挙げる研究論文には、いずれも問題や限界があり、積極的勧奨を再開する根拠となるものでは全くありません。

 

 

 

第3 これまでに集積された本当のエビデンス

 

前項で述べたとおり、議連要望書が挙げる各論文は、HPVワクチンの有効性や安全性を基礎づけるものではありません。むしろ、これまでの間、HPVワクチンの危険性を示すエビデンスが集積されています。

 

 

 

1 他の定期接種ワクチンと比較したHPVワクチンの危険性

 

HPVワクチン(ガーダシル、サーバリックス)の副反応疑い報告は、販売開始から2020(令和2)年9月30日までで合計3232例(うち重篤症例1870例)となっています。

 

その報告頻度を他の定期接種ワクチンと比較すると、主な定期接種ワクチンの合計が100万回接種当たり約23.8人であるのに対し、HPVワクチンは約205.2人であり、前者の約8.6倍にも及びます(別紙4)。

 

さらに、被害救済制度での障害・死亡の認定頻度で比較すると、主な定期接種ワクチンの認定頻度平均が100万人あたり約0.84人であるのに対し、HPVワクチンの頻度は約13.08人であり、前者の約15.7倍にも及びます(別紙5)。

 

これらの点だけからしても、HPVワクチンは、他の定期接種ワクチンと比較して高い危険性があるものと認められます。

 

 

 

2 国内の研究者らによる副反応症例の研究報告

 

HPVワクチン(ガーダシル、サーバリックス)については、これらの接種後に副反応症状を呈した患者を診察した国内の医師らによって、副反応症状の特徴や他覚的検査所見に関する報告がなされています[15],[16],[17],[18],[19],[20],[21],[22]

 

これらの報告によれば、副反応症例に共通する病態の特徴は、①体位性低血圧、体温調節不良、月経異常、過呼吸、めまいなどの自律神経・内分泌障害、②学習障害、記憶障害、見当識障害、倦怠感などの認知・情動系障害、③視覚障害、聴覚過敏、頭痛、関節痛、筋肉痛、しびれなどの感覚系障害、④脱力、筋力低下、歩行障害などの運動系障害など、多様な症状が1人の患者に重層的に発現し、既存の定義づけられた疾患では捉えきれないという点にあります。

 

そして、患者らの中には、脳血流量の低下、内分泌機能検査の異常、起立試験の異常、表皮内神経線維密度の低下、髄液中の自己抗体の検出など、症状と関連すると思われる他覚的所見を有する者も少なくないことが報告されています。

 

患者らの中には、自己免疫疾患の治療に有効とされる免疫吸着療法により改善がみられる例が報告され、副反応に自己免疫が関与している可能性が指摘されています。

 

また、信州大学の池田修一医師らや、鹿児島大学の髙嶋博医師らは、接種者の増加数と副反応症状により当該医療機関を受診した患者の発生数の推移が連動しており、積極勧奨中止後には副反応症状を訴える新規患者がほとんど出現していないといった時間的相関が認められることも報告しています(別紙6)[23],[24],[25]

 

この時間的相関についての報告は、HPVワクチンと副反応との因果関係を示すものとして重要です。

 

 

 

3 海外における副反応症例の研究報告等

 

海外においても、HPVワクチン接種後の有害事象に関する報告は多数存在しており[26],[27],[28],[29]、そこで示されている症状の特徴は、日本における副反応と共通しています[30]。男子にHPVワクチンを接種している国では、男子にも共通の症状が認められています[31]

 

また、現在、世界的規模のワクチンの安全性監視は、スウェーデンのウプサラにあるWHOのモニタリングセンターにおいて行われています。これは、対象が均質な集団だと仮定し、大規模なデータベースを用い、市販後の有害事象報告や文献の症例報告から統計的手法によってシグナルを検出し、これに基づく仮説をたて、さらに統計的な手法によって検証するという手順で行われているものです。ところが、この手順のいずれの段階においても、標準的な症例定義を利用しているため、HPVワクチンのように、対象とする副反応症状が複合的で、個別にみると非特異的な症状が含まれている場合や副反応の定義が確立していない場合には十分に機能しない可能性があります。また、遺伝的性質など個別性の影響の大きい場合が想定されておらず、リスクにさらされている部分集団が母集団全体に占める割合が小さい場合には、リスクを検出できない可能性があるなどの限界があります。このことはWHOのモニタリングセンター内から指摘されています[32],[33]

 

そこで、その限界を補うため、クラスター解析を行ったところ、頭痛およびめまいと失神あるいは疲労感という症状の組み合わせがみられる報告は、他ワクチン接種例に比較してHPVワクチン接種例に有意に多かったとの研究報告が発表されており[34]、HPVワクチンの危険性を示すものとして注目されます。

 

 

 

4 HPVワクチンの成分の危険性を示す動物実験などの研究報告

 

現在定期接種の対象とされているサーバリックス、ガーダシル及び昨年承認されたシルガード9には、HPVのL1タンパクとアルミニウム・アジュバントが含まれています。

 

これらに関連して、以下のような研究報告があります。

 

① L1タンパクには人の生体成分と分子相同性があり[35],[36]、交差反応による自己免疫を引きおこしうること[37],[38],[39]

 

② L1タンパクからなるウイルス様粒子は樹状細胞を強く活性化すること[40]

 

③ 添加されているアルミニウム・アジュバントは、免疫を活性化する一方で[41][42]、神経障害を引き起こすこと[43],[44],[45], [46]

 

④ アルミニウム・アジュバントの有害性が動物実験で示されたこと[47],[48]

 

⑤ ガーダシルをマウスに投与した実験において、荒谷らは、マウスに運動機能障害を引き起こし、マウスの脳の視床下部周辺の血管内皮細胞のアポトーシスを誘発したこと[49]を、Inbarらは、マウスの行動試験での異常、自己免疫の発生、脳組織染色による神経炎症反応の出現を、それぞれ観察したこと[50]

 

以上のような研究報告は、HPVワクチン接種によって免疫介在性の神経障害が発症するとの機序仮説に整合的なものであり、実際に発生している有害事象と相まって、HPVワクチンの危険性を裏付けるものと言えます。

 

 

 

第4 結論

 

以上のとおり、議連要望書に示された子宮頸がんの疫学的状況、HPVワクチンの有効性及び安全性に関する事実認識は、根本的に誤っているというほかありません。

 

以上

 

 

 



[1] 薬害オンブズパースン会議ブログ

 https://yakugai.hatenablog.jp/entry/2021/02/04/164932

[2] 厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」22頁(2019年)

[3] 国立がん研究センター「有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン更新版」(2020年)

[4] Claire P Reesら「Will HPV vaccination prevent cervical cancer?(HPVワクチン接種は子宮頸がんを予防するか?)」Journal of the Royal Society of Medicine 113巻2号(2020年)

[5] Sadao Suzukiら「No association between HPV vaccine and reported post-vaccination symptoms in Japanese young women: Results of the Nagoya study(日本の若年女性におけるHPVワクチンとワクチン接種後に報告された症状との間には関連性がない:名古屋調査の結果)」

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2405852117300708

[6] Yukari YAJUら「Safety concerns with human papilloma virus immunization In JapanAnalysis and evaluation of Nagoya City’s surveillance data for adverse events(日本におけるHPVワクチンの安全性に関する懸念:名古屋市による有害事象調査データの解析と評価)」Japan Journal of Nursing Science 16巻4号(2019年)

[7] 設楽敏ら「『名古屋市子宮頸がん予防接種調査』データに潜むバイアスを探る」第24回日本薬剤疫学会学術総会 プログラム抄録集(2018年)

[8] HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団「名古屋市調査に関する見解」(2020年)

https://www.hpv-yakugai.net/app/download/8054335554/210122+nagoya-study.pdf

[9] Michaela T Hallら「The projected timeframe until cervical cancer elimination in Australia: a modelling study(オーストラリアにおける子宮頸がん撲滅までの予測期間:モデリング研究)」

 Lancet Public Health 2019; 4: e19–27

t

[10] Kate T Simmsら「Impact of HPV vaccine hesitancy on cervical cancer in Japan: a modelling study(日本のHPVワクチン忌避が子宮頸がんの発症に与える影響)」

Lancet Public Health 2020; 5: e223–34

t

[11] Jiayao Leiら「HPV Vaccination and the Risk of Invasive Cervical CancerHPVワクチンと浸潤子宮頸がんのリスク)」

N Engl J Med 2020; 383:1340-1348

[12] 国立がん研究センター・がん情報サービス がん登録・統計 全国がん罹患データ(2016年~2017年) https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/

[13] Anders Hviidら「Association between quadrivalent human papillomavirus vaccination and selected syndromes with autonomic dysfunction in Danish females: population based, self-controlled, case series analysis(デンマークの女性における4HPVワクチンと自律神経機能障害の関係)

 BMJ 2020;370:m2930

[14] Dongwon Yoonら「Association between human papillomavirus vaccination and serious adverse events in South Korean adolescent girls: nationwide cohort study(韓国の思春期女性におけるHPVワクチンと重篤な有害事象の関係)」

https://www.bmj.com/content/372/bmj.m4931

[15] 横田俊平ら「ヒト・パピローマウイルス・ワクチン関連神経免疫異常症候群の臨床的総括と病態の考察」日本医事新報4758巻(2015年)

[16] 横田俊平ら「Human papilloma virus(HPV) vaccination-associated neuro-immunopathic syndrome(HANS):a unique symptomatic spectrum and the pathological role of hypothalamus」自律神経55巻3号(2018年)

[17] 横田俊平ら「HPVワクチン関連神経免疫異常症候群(HANS)とautoimmune/inflammatory syndrome induced by adjuvants(ASIA)」アレルギー・免疫25巻6号(2018年)

[18] Kinoshita Tomomiら「Peripheral Sympathetic Nerve Dysfunction in Adolescent Japanese Girls Following Immunization with the Human Papillomavirus VaccineInternal Medicine 53巻19号(2014年)

[19] 池田修一「子宮頸がんワクチン接種後の副反応:わが国の現状」昭和学士会雑誌第78巻4号(2018年)

[20] 髙嶋博ら「ヒトパピローマウイルスワクチン接種後の神経障害:自己免疫性脳症の範疇から」神経内科85巻5号(2016年)

[21] 髙嶋博ら「子宮頸がんワクチンに関連した自己免疫性脳症」神経内科89巻3号(2018年)

[22] 高橋幸利ら「ヒトパピローマウイルス(子宮頸がん)ワクチン接種後にみられる中枢神経系関連症状」日本内科学会雑誌106巻8号(2017年)

[23] 池田修一ら「Suspected Adverse Effects After Human Papillomavirus Vaccination: A Temporal Relationship Between Vaccine Administration and the Appearance of Symptoms in Japan. (ヒトパピローマウイルスワクチン接種後に疑われた副反応:日本におけるワクチン接種から症状発現までの時間的関係)」Drug Safety:Published online:25 July 2017(2017年)

[24] 池田・前掲註23

[25] 髙嶋・前掲註21

[26] Svetlana Blitshetynら「Autonomic dysfunction and HPV immunization: an overview(自律神経機能障害とHPV予防接種:概観)」Immunologic ResearchPublished online:27 Nov. 2018(2018年)

[27] Louise S.Brinthら「Orthostatic intolerance and postural tachycardia syndrome as suspected adverse effects of vaccination against human papilloma virus(ヒトパピローマウイルスのワクチン接種によるものと疑われた副反応としての起立性調節障害およ び体位性頻脈症候群)」Vaccine 33巻22号(2015年)

[28] Manuel Martinez-Lavinら「HPV vaccination syndrome. A questionnaire-based study(HPVワクチン接種症候群:質問票に基づく検討)」Clinical Rheumatology 34(2015年)

[29] 黒岩義之ら「Human papilloma virus vaccination(HPVV)-associated neuro-immunopathic syndrome(HANS):a comparative study of the symptomatic complex occurring in Japanese and Danish young females after HPVV(ヒトパピロー マウイルスワクチン接種[HPVV]関連神経免疫異常症候群 [HANS]):HPVワクチン接種後若齢日本人・デンマーク人女性に生じた複合症状の比較研究)」自律神経 55巻1号(2018年)

[30] 薬害オンブズパースン会議ほか「HPVワクチンに関する共同宣言2018」(2018年)

http://www.yakugai.gr.jp/topics/topic.php

[31] 西岡久寿樹「ヒトパピローマウイルスワクチン接種後の中枢神経障害を中心とする多彩な病態をどのように把握するか:わが国と諸外国の調査成績の検討」神経内科85巻5号(2016年)

[32] Rebecca E. ChandlerSafety Concerns with HPV Vaccines Continue to Linger: Are Current Vaccine Pharmacovigilance Practices Sufficient?(HPVワクチンの安全性への懸念は依然残っている:現在のワクチンのファーマコビジランス(医薬品安全性監視)は十分か?)Drug safety40巻 (2017年)

https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs40264-017-0593-3

[33] Rebecca E Chandler, Modernising vaccine surveillance systems to improve detection of rare or poorly defined adverse events(ワクチンサーベイランスシステムを近代化し、稀な、あるいは定義が不十分な有害事象の検出を改善する)」BMJ365巻(2019年)

[34] Rebecca E. Chandlerら「Current Safety Concerns with Human Papillomavirus Vaccine: A Cluster Analysis of Reports in VigiBase(ヒトパピローマウイルスワクチンの安全性に関する現在の懸念:VigiBase収載報告のクラスター分析)」Drag Safety: :Published online:16 Sep 2016(2016年)

[35] Darija KanducQuantifying the possible cross-reactivity risk of an HPV16 vaccine (HPV16ワクチンの起こりうる交差反応リスクの定量)」Journal of Experimental Therapeutics and Oncology 8巻(2009年)

[36] Darja KanducPenta- and hexapeptide sharing between HPV16 and Homo sapiens proteomesHPV16とヒトプロテオームとの間で共有されているペンタペプチド及びヘキサペプチド)」International Journal of Medicine and Medical Sciences 1巻9号(2009年)

[37] Darija Kanduc,Yehuda Shoenfeld From HBV to HPV: Designing vaccines for extensive and intensive vaccination campaigns worldwide(HBVからHPV:幅広く強力な世界的 予防接種キャンペーンのためのワクチンデザイン)」Autoimmunity Reviews 15巻11号(2016年)

[38] Shani Dahanら「Cardiac arrest following HPV Vaccination(HPVワクチン接種後の心停止)」Clinical Research and Trial 5巻(2019年)

[39] Yahel SegalYehuda ShoenfeldVaccine-induced autoimmunitythe role of molecular mimicry and immune crossreaction(ワクチン誘発性自己免疫:分子相同性の役割と免疫交差反応)」Cellular & Molecular Immunology 15巻6号(2018年)

[40] Petra Lenzら「Papillomavirus-Like Particles Induce Acute Activation of Dendritic Cells(パピローマウィルス様粒子は樹状細胞の急速な活性化を誘導する」The Journal of Immunology 166巻9号(2001年)

[41] 石井健、山西弘一監修「アジュバント開発研究の新展開」(2011年)

[42] MSD株式会社「医薬品インタビューフォーム ガーダシル(2019年)

[43] R.K.Gherardiら「Macrophagic myofasciitis lesions assess long-term persistence of vaccine- derived aluminium hydroxide in muscle (マクロファージ筋膜炎の病変から、 ワクチン由来の水酸化アルミニウムが筋中に長期残留することが判断される)」Brain vol.124(2001年)

[44] F.J.Authierら「Central nervous system disease in patients with macrophagic myofasciitis(マクロファージ筋膜炎患者における中枢神経系疾患)」Brain 124巻(2001年)

[45] Maryline Couetteら「Long-term persistence of vaccine-derived aluminum hydroxide is associated with chronic cognitive dysfunction(ワクチン由来の水酸化アル ミニウムの長期残存は慢性の認知機能障害と関連している)」Journal of Inorganic Biochemistry 103巻(2009年)

[46] R.K.Gherardiら「Macrophagic myofasciitischaracterization and pathophysiology (マクロファージ筋膜炎:その特徴決定と病理生理学)」Lupus 21巻2号(2012年)

[47] Christopher A. Shaw 他「Aluminum hydroxide injection lead to motor deficits and motor neuron degeneration(水酸化アルミニウムの接種は、運動機能欠陥及び運動神経 減衰をもたらす)」Journal of Inorganic Biochemistry 103巻(2009年)

[48] Nancy Agmon-Levinら「Immunization with hepatitis B vaccine accelerates SLE-like disease in a murine model(B型肝炎ワクチン接種はマウスモデルのSLE様疾患を加速する)」Journal of Autoimmunity 54巻(2014年)

[49] Satoko Arataniら「Murine hypothalamic destruction with vascular cell apoptosis subsequent to combined administration of human papilloma virus vaccine and pertussis toxin(ヒトパピローマウイルスワクチンと百日咳毒素の併用投与後の血管細胞 アポトーシスを伴うネズミ視床下部の破壊)」Nature.com/Scientific Reports: :Published online:11 Nov. 2016(2016年)

[50] Rotem Inbarら「Behavioral abnormalities in female mice following administration of aluminum adjuvants and the human papillomavirus (HPV) vaccine Gardasil(アルミニウムアジュバントとHPVワクチンガーダシルの接種後の雌性マウスにおける異常行動)」Immunologic Research 65巻1号(2016年)

 


別紙1


別紙2


別紙3


別紙4


別紙5


別紙6