九州訴訟の裁判期日(1/23)が行われました

2023年1月23日、福岡地裁では3年ぶりの公開法廷でした。

前日の雨が上がり、寒いけれど日差しが出てきた福岡には、全国から支援者の方々が大勢集まってくださいました。

13時20分から門前集会を行い、北海道、東京、名古屋、大分、熊本から、また地元から、薬害被害者やその家族、支援者、福岡市議会議員、原告団代表、全国弁護団弁護士から次々と、寒さを吹き飛ばす熱いメッセージが寄せられました。

 13時40分からの入廷行動は、長い列となりました。

 14時に開廷した法廷は、傍聴席は満席に近い状態でした。

 書面提出のやり取りの後、17番さんが意見陳述しました。HPVワクチンの副反応症状が出る前までは中学校の演劇部で活躍していたのに、嘔吐や酷い下痢、記憶障害などの副反応症状のために演劇の道を諦め、高校進学後も通学ができなくなり、転学したこと、当初心因性と診断されて精神科で治療しても治らず、鹿児島大学病院でHPVワクチンの副反応だったと分かったこと、副反応だと分からずに娘を責めてしまった父親の後悔の気持ち、大学進学しても症状がありどうにか卒業はできても就職が難しく、未だ症状に苦しんでいる、夢を返して、体を元に戻してください、と、演劇の道を目指していた17番さんらしく、気持ちのこもった意見陳述に胸を打たれました。

続く、MSD代理人の意見陳述は、原告の主張を裏付ける医師らの論文等の証拠は、科学的根拠を欠き矛盾しているという内容でしたが、抽象的で説得的ではありませんでした。

最後に、GSK代理人からは、原告の主張するHPVワクチンの副反応症状は、心因性のものだから精神科での認知行動療法で治るなどと、長々と意見陳述がありました。同じ法廷で直前に17番さんが心因性と診断されて治療したのに治らなかったとの意見陳述をしたばかりなのに、まるで聞いていないのか、呆れるばかりでした。

閉廷後、あまりに酷い被告代理人の意見陳述に、傍聴席を後にする傍聴人からは抗議のような感想が異口同音に出ていました。

  また、今後の裁判の流れについての進行協議期日が行われ、弁護団代表などの一部が法廷に残り参加しました。

 15時からは、弁護士会館2階大ホールで報告集会を行いました。こちらも大ホールがソーシャルディスタンスで座ると満席状態でした。

 弁護団の徳永から、簡単に裁判の説明を行いました。

 

次に、映像作家・澤則雄さんのドキュメンタリー映像を上映し、澤さん自身からも、挨拶がありました。依頼があって映像作成のため厚労省の副反応検討部会を傍聴していたが、与党議員の申し入れから積極勧奨の再開が急展開し不自然だと感じた、この問題を広く知ってもらう必要があると強く感じたとのことでした。

 そして、17番さんと担当の佐川弁護士が記者会見し、佐川弁護士から、17番さんの症状や経過を説明し、17番さんからも青春が奪われたのが悔しい、GSKの意見陳述に対してはずっと心因性と言われて治療してきたのに何も分かってもらえないと感じた、腹立たしいというより悲しい、いつかは私達の症状や気持ちを聞いてほしいということでした。

 

 その後も、支援者から次々に熱いメッセージやポスター作成などの紹介がありました。熊本県から薬害肝炎訴訟の出田さん、B型肝炎訴訟九州原告団の杉山さん、大分の山﨑さん、清國さん、東京訴訟支援の隈本邦彦さん、名古屋原告団代表の谷口さんなどなど、それぞれから支援の言葉をいただき、福岡の原告団代表の梅本さんからも法廷での原告の生の訴えの力が重要だと感じたと挨拶がありました。

 弁護団からは、小林洋二弁護団代表から、進行協議の報告があり、福岡の法廷はホットで被告代理人にも支援者の声が響いているのではないかということでした。

全国弁護団共同代表の水口真寿美弁護士(東京)から、今後、専門家が各地裁で証言していく、副反応が認知行動療法で治るものではなく、科学的根拠を示して証言いただく。尋問準備、意見書作成準備をしている。法廷を一杯にして応援していただくのが重要。原告さんは法廷証言の準備も始まる。それぞれ得意なところで支援をいただきたい。

 

全国弁護団共同代表の山西美明弁護士(大阪)からも、被告企業はビッグデータを都合よく切り取っただけ、17番さんが経験されたことがベストエビデンスだと語り、さらに頑張ろうとの気持ちを共有できました。

いずれの方からのコメントも本当に興味深く、全て紹介できないのがもったいないくらいの報告集会でした。ご参加の皆様、本当にありがとうございました。次回の福岡地裁での裁判は、4月17日(月曜)です。どうぞご一緒に原告さんを応援してください。