九州訴訟の裁判期日(髙嶋先生証人尋問)が開催されました

2023年7月3日(月)、福岡地方裁判所で、髙嶋博先生の証人尋問が行われました。

この日、大雨による高速道路の通行止めや公共交通機関の乱れが発生しているなか九州各地からやっとのことで裁判所にたどり着いたという当事者の方、支援者の方もたくさんおられました。大雨の予報だったところ、証人尋問が行われる午後には奇跡的に晴れて、お天気に恵まれました。

 

またこの日の期日前には、大分の支援者の方を中心に、集められた1万1910名もの署名が裁判所に提出され、素晴らしい条件のもとで証人尋問期日が開かれました。

髙嶋先生は、鹿児島大学病院医学部の教授で脳神経内科学教室に所属し、HPVワクチン接種後の神経症状を訴える原告ら約60名の患者の診察と治療を行っている脳炎・脳症の専門家です。

これまで「原因のない病気はない」という信念を持って極限まで患者の診察にあたり治療を行い、そのなかで、多数の新しい知見を切り開いてこられました。そしてそれまで心因性とみなされた疾患について、びまん性脳障害による神経症候という診断概念を提唱し自己免疫性脳症を適格に診断し、治療されてきました。

髙嶋先生には、尋問のなかで、びまん性脳障害の一つである橋本脳症との症状の類似性から、ワクチン接種後副反応症状がびまん性脳症であるということ、さらに末梢自律神経障害も重なっている極めて特徴的な患者群であるということについて、また被告が原告の神経症状が心因性のものであるとする根拠として指摘する所見について一つ一つ丁寧にこのような所見があったからといって自己免疫性脳炎であることは否定できず、むしろ免疫機序であることを疑わせるものであることについて説明をしていただきました。

 

合わせて、早い段階でワクチン接種後副反応症状については自己免疫性脳炎として治療が可能であるとの強い確信をもたれ実際に副反応の患者の治療をされてきたことから、副反応患者について心因の反応であるとされ、治せるのに治せない状態が続いているということについての憤りや治療をしたいという強い思いを語っていただき、現状を変えるには司法の力が必要であると訴えられ、そのために敢えてこの訴訟の証言台に立ったことをお話しになりました。先生の力強い言葉に、尋問終了後には、傍聴席から自然と拍手が沸き起こりその熱気に包まれたまま期日は終了しました。

期日後の報告集会では、尋問を担当した佐川弁護士から尋問についての報告とともにこれまで髙嶋先生からは弁護団との打ち合わせのなかでも繰り返しワクチン副反応の治療をしたいとの思いが伝えられていたとの報告がありました。

 

支援者の方からは、髙嶋先生の尋問について、弁護団のおかげでいろんな証言が引き出されたと思う、なぜ副反応の症状が心因性と言われるのか腑に落ちなかったのが先生の話を聞いて理解できた、患者さんの気持ちに寄り添う治療をしたいという先生の気持ちを聞いて涙が出たといった感想が寄せられました。

2022年4月のHPVワクチンの接種勧奨の再開後、ワクチンを接種し副反応の症状を訴え鹿児島大学病院で治療を受けている患者が4名いることが尋問でも明らかになりましたが、会場にもこのうちの1名が参加されており、ガーダシルを接種し強い頭痛や目のぼやけなどの症状で高校の休学を余儀なくされ、寝たきりの生活を送っているという報告がありました。

ワクチンを打つべきかどうか調べたうえで、産婦人科の医師から接種しても大丈夫と言われ、娘の幸せを思ってワクチンを接種してもらったという親御さんのお話には、多くの原告のご家族が共感を示されていました。

私たちは、報告集会の中でこのような新たなワクチンの副反応被害者を出してしまったことについて悔しいという思いを共有し、この問題に対する社会的注目や警鐘を鳴らしていくことが求められているということを改めて確認しました。

数年前からこの問題を支援してくださっている福岡市議会の森あやこ議員からも、市議会をはじめとする社会がHPVワクチンの接種再開に傾いていること、全国子宮頸がんワクチン副反応被害者連絡会の事務局長をつとめる日野市議会の池田としえ議員からはHPVワクチン副反応被害者連絡会に対する相談件数は1万件以上に及んでいることの報告もありました。

 

池田さん以外にも、東京、北海道、沖縄の各地からたくさんの支援者の方がかけつけてくださいました。

原告からは、患者に寄り添い治療してくれた髙嶋先生への感謝の気持ちともに、鹿児島大学病院にたどりつくまで長期間医療機関をまわり治療につながれず、そのために現在まで車いす生活を強いられていてとても辛いという思いなどが率直に語られる場面もありました。


8月以降も引き続き各地の裁判所で専門家証人の尋問が行われるとともに専門家証人への反対尋問なども始まります。引き続き原告、支援者ともにこの局面を乗り切り、ワクチンの副反応被害の解決の必要性を訴えていきたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします。

 

<九州訴訟の今後の予定>

10月2日(月)10時~ 専門家証人反対尋問

※傍聴抽選がある場合は9時15分頃抽選になる見込みです。

 決まりましたら再度ご案内いたします。

1月22日(月)午後 原告本人尋問

4月17日(水)午後 原告本人尋問 

7月10日(水)午後 原告本人尋問