HPVワクチン薬害東京訴訟第6回口頭弁論期日が開かれました

法廷での意見陳述後の会見に臨む原告の久永奈央さん(左)
法廷での意見陳述後の会見に臨む原告の久永奈央さん(左)

 2018年5月30日(水)に、東京訴訟は第6回弁論期日を迎えました。

 法廷開始前には、原告や支援ネットワークのメンバー約30名が集まり、有楽町マリオン前の街頭に立って、副反応被害のことや、裁判のことなどについてお話しして、フライヤーを配布しました。

続いて、東京地方裁判所前でリレートークを行いました。

リレートークで発言する望月瑠菜さん(HPVワクチン薬害訴訟東京原告団副代表)
リレートークで発言する望月瑠菜さん(HPVワクチン薬害訴訟東京原告団副代表)

 東京原告の望月さんは、いま、全国各地で声を上げて、救済を受けるために頑張っていること、このように頑張れるのは皆様の応援があってこそだということを話しました。

 「今年3月の国際シンポジウムで世界に同じ被害に遭っている人がいることが分かった。この裁判は、世界の未来がかかっているとも言える。」という言葉には、同じ被害に苦しむ人たちとの連帯を感じました。

 東京訴訟支援ネットワークの江川さんからは、前記の街頭宣伝の報告が行われ、今後も支援の輪を広げて頑張っていきたいとお話がありました。

 また、ネットワークの活動に参加している学生さんは、ワクチンを打って体調崩した方から話を聞いた、被告らが因果関係や被害者の話を頭から否定するのはおかしいと話しました。

薬害肝炎全国原告団の浅倉美津子代表
薬害肝炎全国原告団の浅倉美津子代表

 薬害肝炎全国原告団の浅倉美津子代表からは、「薬害は私たちで終わりにしようと思っていたのに、若い女の子が薬害の被害に遭ってしまった。被告ら代理人は、原告が車椅子で必死に被害を訴えても無視していて、許せないと感じた。今後も支援を惜しまない。」と力強い応援メッセージをいただきました。

三鷹市議会の野村羊子市議
三鷹市議会の野村羊子市議

 東京都三鷹市議会議員の野村羊子さんからは、「裁判をせざるを得ない状況になったのは残念だが、国と製薬会社がしっかりと責任を認め、救済の道が開かれるように求めていきたい。」とのご発言をいただきました。

 東京支援訴訟ネットワークの隈本邦彦代表からは、HPVワクチンの安全性を調べた26件の臨床試験のうち25件がメーカーからお金を受け取って行われた試験であったこと、研究のレビューを行った人もワクチンを推進してきた研究者で、被告製薬企業からお金をもらっていたことの指摘がありました。

 本日の第6回目の弁論期日では、まず、東京原告5番の久永奈央さんが意見陳述を行いました。
 久永さんは、子どものころからスポーツなどに取り組み、将来は英語を使って国際的な仕事をしたいと夢見ていました。

 しかし、中学生のときにサーバリックスを接種して、全身を移動する痛みや、全身が鉛のように重く力が入らない脱力感に始まり、頭痛、吐き気、めまい、食欲不振など様々な症状が出たことによる苦しさ、悔しさ、次はどんな症状が出るのかという不安、接種前の自分と今の現実とのギャップに打ちのめされそうになったそうです。

法廷終了後の会見での質疑に答える久永さん
法廷終了後の会見での質疑に答える久永さん

「世の中が変わって問題が忘れ去られても、私の体は変わらない。私はこの体に向き合わなければいけない。」

「私がこの裁判に望むことは、普通の体に戻してもらうことだけ。ただ、洗濯や掃除、料理をしても寝込んでしまわない体に戻してほしい。」

 こうした久永さんの、ごく当たりまえの生活を切実に求める言葉は、強く胸に響くものでした。

 続いて、阿部哲二弁護士から、HPVワクチンの危険性を指摘しました。

報告集会で陳述内容を解説する阿部哲二弁護士
報告集会で陳述内容を解説する阿部哲二弁護士

 医薬品副作用被害救済制度により障害年金等の給付を受けた人が、HPVワクチンでは被接種者100万人あたり11.765人に上ります。これに対して、他の主な定期接種ワクチンでは被接種者100万人あたり1.075人となっています。他に比べて10倍以上という高い割合で、救済の対象となるほどの副反応が生じています。阿部弁護士は、こうした具体的数値を示して、HPVワクチンの危険性が、他のワクチンの比べて際立ったものであることを指摘しました。

 また、前回期日で、被告MSDの代理人が、原告らと子宮頸がん患者・家族とを対立させるような主張をしたことに対しては、HPVワクチンによって子宮頸がんが減少したという研究データは示されていないこと、ワクチン接種率が極めて低くなっているのは高い頻度で重篤な副反応が発生していることを背景とした国による接種勧奨の差し控えによるものであることなど、具体的な反論を行い、被告MSDの主張が誤りであることを指摘しました。

 法廷の終了後には、東京地裁内の司法記者クラブで会見を行い、法廷での意見陳述を終えた久永奈央さんが質問に答えました。

東京地裁内の司法記者クラブでの会見
東京地裁内の司法記者クラブでの会見

 久永さんは、とにかくもっと多くの人に被害の実態を知ってもらいたいという想いで意見陳述を行ったこと、そして何よりも早く治療方法を見つけて欲しいと思っていることを、記者のみなさんに伝えました。
 自分たちの被害を被害と認めてもらえない、それを認めてもらうためには裁判をやるしかない、という想いは、久永さんだけでなくすべての原告さんに共通するものです。

 この記者会見と並行して、報告集会も開催されました。報告集会では東京弁護団の木下正一郎弁護士から、本日の法廷でのやりとりを報告した後、原告さん本人やその両親、さらには支援者の皆さんから順番にお話をいただきました。

 報告集会には、60名を超える方々が集まって下さいました。学生さんや医療関係者、NPO法人の関係者、他の薬害訴訟の被害者の方など、様々な立場の方の参加を得て、社会における支援の輪の拡がりをあらためて実感することができました。

 次回の第7回弁論期日は、2018年8月8日(水)午後3時です。どうか引き続き傍聴にご参加下さい。