HPVワクチン薬害東京訴訟第7回期日が開かれました

意見陳述後の記者会見に臨む望月瑠菜さん(左)
意見陳述後の記者会見に臨む望月瑠菜さん(左)

 2018年8月8日、東京訴訟は第7回期日を迎えました。
 関東地方に台風が近づく中、朝から強い雨風があったため、残念ながら裁判所前でのリレートークは中止となりましたが、傍聴券の抽選にはたくさんの方が並んでくださいました。

 本日の法廷では、まず、大久保陽加弁護士が、世界各地のHPVワクチンの副反応被害の状況について陳述しました。
 被告GSKの代理人らは、期日において、サーバリックスが多数の国・地域で承認・接種され、安全性に問題がないとの主張を繰り返しています。これに対し、大久保弁護士は、日本だけでなく世界各地においてHPVワクチンの危険性が問題となっていることを述べました。
 具体的には、国際シンポジウムで各国においても日本と共通する副反応症状が報告されていること、各国において被害者団体が設立されており、被害救済を求める裁判も提起されるていること、各国の接種率は決して高いものではないことといった具体的な事実を指摘しつつ、世界においてもHPVワクチンの危険性が大きく問題となっていることを説明しました。

 続いて、東京原告27番の望月瑠菜さんが意見陳述を行いました。
 望月さんは、小さいころからスポーツが大好きで野球チームのキャプテンを務め、生徒会長を務めるなど、活発な学生生活を送っていました。
 しかし、小学6年生のときに、3回接種したサーバリックスによって、全身の痛み、頭痛、足の痙攣による歩行困難などの多様な症状が発現し、このままどうなってしまうのかという不安で眠れない日々を過ごしたとのことです。また、歩けなくなってしまってからは、現実を受け止めることができず、外に出ることすらできなくなってしまったそうです。
 望月さんは、大好きなスポーツができなくなってしまったことで、勉強に力を入れ、副反応被害に苦しみながらも理学療法士という夢を持つようになりました。しかし、高校卒業後の進路を決めるとき、体調のことを考え、理学療法士になるための専門学校に行くこともかなわない現実に直面しました。

 進路調査票に「未定」と書き続ける辛さ、高校卒業してから時が止まったように感じていること、友人に「おいて行かれてしまった」、親しい友人に会うこともこわいと感じてしまう、現在進行形の不安な気持ち、辛い思いは、とても切実なもので、早期の救済を求める陳述は、胸に響くものでした。

 法廷の終了後には、東京地裁内の司法記者クラブで記者会見を行いました。

「私にとってこの裁判は、負けられないものです。私だけの人生だけではない。親も心配しているからです。命をかけてでも戦ってきたいと思っています。」

 このような決意を抱えて今日の法廷に立ったことを、望月さんは、集まったメディアの皆さんに伝えました。

 期日後の報告集会では、木下弁護士より原告・被告双方の主張の内容を説明した上、法廷におけるやりとりなども紹介しました。

 悪天候で帰宅が急がれる中であったにもかかわらず、報告集会の参加者は40名を超えました。遠方から参加された原告の保護者が自ら体験した被害を説明すると、他の参加者からは、その苦しみに寄り添った意見や力強い支援の言葉が寄せられました。

 この日も、暖かい支援の輪の広がりを実感することができた一日となりました。

 次回の東京訴訟は11月7日です。秋晴れの空の下でみなさんにお会いできることを楽しみにしています。