HPVワクチン薬害の実態を報告~第20回薬害根絶フォーラム

 平成30年10月20日、東京医科歯科大学・歯科棟4階の特別講堂において、第20回薬害根絶フォーラムが開催されました。

薬害根絶フォーラム開催案内より
薬害根絶フォーラム開催案内より

 薬害根絶フォーラムとは、薬害被害者団体(10薬害・12団体)によって設立された全国薬害被害者団体連絡協議会(薬被連)が主催する会合であり、薬害根絶デーと並ぶ薬被連の重要な年間行事の1つとして、薬害の歴史を知り、薬害根絶の必要性について理解を深める機会となっています。今回の開催で、20回目という節目を迎えました。

 フォーラムの冒頭では、花井十伍薬被連代表世話人(大阪HIV薬害訴訟原告団代表)より、薬害を繰り返さないために薬被連が活動してきたにもかかわらず、HPVワクチン薬害といった新たな薬害が発生していることについて憂慮すると共に、こうした問題の解決のためには薬被連として団結して活動していくことが重要であるとの挨拶がありました。 

 第1部では、薬被連に所属する8つの薬害被害者団体(スモン・ヤコブ・サリドマイド・筋短縮症・陣痛促進剤・HIV・肝炎・MMR)より、各薬害の被害実態について報告がありました。その後、第1部の特集としてHPVワクチン薬害が取り上げられ、落合晴香さん(HPVワクチン薬害訴訟名古屋原告団)が、自身に生じた被害について報告しました。

落合晴香さん(HPVワクチン薬害訴訟名古屋原告団)
落合晴香さん(HPVワクチン薬害訴訟名古屋原告団)

 HPVワクチン接種後に自分の身体に起きた激しい脚の痛みや頭痛、脱力、歩行困難、痙攣、吐き気といった多様な症状。

 病院を受診したものの、心因性のものと言われて原因がHPVワクチンであるとわかるまでいくつもの病院を受診しなければならなかったこと。

 学校で意識を失い、目が覚めたときには友人や家族の記憶を含めたそれまでの記憶を失ってしまい、現在も回復していないこと。

 受診した医療機関にHPVワクチン副反応についての理解がなく、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出する予防接種健康被害救済申請に必要な診断書の作成を拒否されたこと。

 学習障害のために進学や就職が難しくなってしまったため、今後の生活や将来についての不安が大きいこと。

 落合さんは、集まって下さった大勢の参加者の前で、自身の経験した被害状況を詳細に報告しました。

 第2部では、スモン・肝炎・サリドマイド・HIVの各薬害被害者がパネリストとなり、「薬の承認制度を知ろう~薬機法改正の問題点と課題」をテーマとした討論が行われました。討論の中では、医薬品の副作用が未知の症状であるために放置され、それによって被害がさらに拡大していくという点に、薬害被害の典型的な特徴があることが指摘されました。

 今回の薬害根絶フォーラムを通じて、HPVワクチン薬害の存在や被害者に起きている具体的な症状、直面している現実的な問題等を伝えるとともに、過去の薬害の歴史の中で、HPVワクチン薬害がどのように位置づけられ、どのように解決されなければならないのかといった点について、理解を深めることができたように思います。

 弁護団でも、引き続き、HPVワクチン薬害についての理解を深め、支援の輪を拡げるための活動を進め、支援者のみなさんとの連携を深めて行きたいと考えています。今後ともご支援の程よろしくお願い致します。


2018/10/25 追記

 落合さんに、登壇して話をした感想をまとめてもらいましたので、掲載いたしました。

 参加してよかった、登壇を決意してよかったと思いました。

 

 正直HPVワクチン薬害訴訟のことを代表して話すという大役が私に務まるのか、また決意してからの準備が慌ただしかったため、伝えたいことが伝わる内容になったのか不安な部分もありました。しかし、登壇中に目を潤ませてくださっている方、うなずきながら聞いてくださっている方を見て、「一生懸命聞いてくださっている方がいる。伝われ!」という一心で話しました。

 

 登壇後「よかったよ!」「私も同じような症状の薬害に遭ってるから協力したい」と言ってくださる方がいて嬉しかったです。私自身も、今日最も伝えたかった被害の状況やその大きさ、それに伴う治療や保証の必要性を伝えることができたのではないかと感じています。

 

 また、私たちはもっと被害を訴えていかなければならないと感じました。他の薬害の方の話を聞いていて本当に心が痛み、目が潤みました。薬害をなくすために、考えるだけで辛く怒りがこみ上げてくるような被害のことを、懸命に話されている姿を見て、私たちももっと被害を伝えなければと思いました。


 今日参加されていた方が「薬害が起こらないように活動しているにも関わらずHPVワクチンのような若い世代でもまた起きてしまった」とおっしゃっていました。これだけ薬害について学び、発信するという活動を精力的にしてくださっているにも関わらず、私たちのような世代に被害が出てしまったというのは大問題です。

 私たちは実際に辛い目に遭っているからこそ、それを訴えることで未来の子供たちが同じような思いをしなくても良い社会を作ることができると思います。これからも力を合わせて頑張りましょう!!

落合晴香