全国市長会を訪問してHPVワクチン薬害の実態を説明しました

 本年10月29日、HPVワクチン薬害全国原告団・弁護団は、全国市長会(東京都千代田区平河町)を訪問し、同会の社会文教部の方々と面談しました。

 

 すでにお伝えしたとおり、国は、市区町村を通じて、新たに改訂されたHPVワクチンのリーフレットを10代の対象女性に個別送付するという方針を決定しました

 これに対し、HPVワクチン薬害全国原告団・弁護団は実際に個別送付を担当することになる各市区町村に宛てて本年10月16日付の要請書を発送し、個別送付の中止と被害者へのさらなる支援を呼びかけています。

 

 今回の全国市長会への訪問は、全国の市区町村に対してこうした要請を実施中であることを報告するとともに、現在の被害者のおかれている実情をお伝えする趣旨で行ったものです。

 

 当日は、原告から全国市長会の笹島社会文教部長に要望書をお渡しました。

 また、弁護団からは、新しく改訂されたリーフレットの問題点を説明するとともに、今後被害者が増大した際の相談などに対応いただく立場にもある自治体のみなさんには、受け皿となるはずの全国の協力医療機関が十分に機能していないという実態があることを知ってほしいと考えていることなどを伝えました。

 ご対応いただいた文教部会のみなさんに、2人の原告からお伝えした内容の全文は、それぞれ以下のとおりです。


 はじめまして、匿名の東京原告現在19歳です。
 短期記憶力の低下により文章の組み立てなどが出来ないので準備してきた文章を読ませて頂きます。

 

 私は2013年中学1年生の時にHPVワクチンガーダシルを接種しました。
 二回目の接種直後から痛みや歩行困難などの症状がでました。
 ガーダシル接種前までは健康と体力だけが自慢だった私は身体障害者になりました。今も地元の病院と国の協力医療機関に通院しています。

 現在は身体障害者支援を受け、週に一度3時間、時給200円で作業所に通っています。
 車いすに座っているだけでも、痛みが増し、疲労感が強く、長時間での労働では注意力散漫になってしまうので、週に一度の3時間が限界です。少ない時間ではありますが、作業所での労働は私にとって大切な社会とのつながりです。

 最初に話した通り、私は中学1年生で接種したので義務教育である中学校もほとんど通えませんでした。
 今、厚労省は「案内のリーフレットを送るように」と全国の自治体に促しています。
 HPVワクチンは今も定期接種で対象年齢ならば無料で接種出来ます。
 対象年齢は小学校6年生から高校1年生で、ほとんどが義務教育の子供です。
 たくさんの人がHPVワクチンを接種したら、私たちの様に副反応に苦しむ被害者が出てくるのは当たり前のことです。
 その時は定期接種なので自治体が寄り添わなければなりません。

 私の場合は市長さんがHPVワクチンの副反応に理解があったので、車いすでも登校出来るように中学校の工事をしてもらえました。
 義務教育なので役所、教育委員会、学校がたくさん話合ってくれました。
 その際、国は何もしてくれませんでした。
 色んな対応をして貰いましたが体調が悪くほとんど通学できませんでした。
 でも、だからと言って時は止まってくれないので、当然のように私は年を取るし成長します。
 市で対応出来ていた中学を卒業し高校進学が待ち構えていました。
 その時、国が設置していると発表している県のHPVワクチン接種後の相談窓口に相談しますが、国も県も何の回答もできませんでした。


 中学校と市に相談し私は県立の通信制高校に入学し頑張って3年で卒業しました。
 高校卒業の時期に私の卒業後の進路を心配した担任の先生が県の相談窓口に相談しますが、このときも回答が出ず、担任の先生が「何の力にもなれなくて申し訳ない」と私に謝りましたが、私は先生の気持ちが嬉しかったです。
 それから市役所の人の勧めもあって私は今の作業所に通っています。

 これまでの話を聞いてもらって、私を支えてきたのは国や県ではなく自治体だとわかってもらえたと思います。

 今、リーフレットを送るという行為は、副反応被害者が出た時に自治体で支える準備が出来ているのかな?と私は疑問に思います。
 国の協力医療機関は機能していないから治療法もまだありません。
 国の救済制度は時間がかかり、この手続きも被害者と自治体でします。
 県に設置された相談窓口もただ設置しただけ・・・
 万が一HPVワクチンの副反応被害者が自分の自治体で出た時の対応は国にも県にも任せられない現実を私は知っていますが、ほとんどの人は知りません。

 国の言う通りにリーフレットを送るのは簡単な事だと思いますが、まず全国の市長さんたちにはHPVワクチンの被害を知ってもらいたい。どんな生活をしてきて今はどんな生活を送っているのか。
 万が一接種後に副反応被害者が自分の自治体ででた時に支えられるのか?
 よく考えて頂きたい。

 私は中学校に普通に通いたかったし、高校も普通科の高校に行きたかった。
 私達はいつだって、何か特別な事を望んでいるわけではありません。
 今まで支えてくれた人には感謝しているけれど、HPVワクチンを接種して身体障害者にならなければ私の人生は全く別の人生だったと思います。
 だから、私の様に義務教育も通えないような子供をHPVワクチン接種によって作らないで欲しいと思い、今日はこの場に来ました。

 

 どうか、まず私たちの事をもっと知ってください。

 

 話を聞いて下さりありがとうございました。


 私は中学2年生のときにサーバリックスを3回接種しました。それから9年以上、全身の痛みや歩行困難、高次脳機能障害など様々な症状に苦しんでいます。寝たきりになった時期もあり、高校も退学せざるを得ない状況になりました。

 そんな中、私なりに工夫をして勉強を続け、今年の3月に通信制の大学を卒業しました。
 現在は、感覚が過敏になったり、すぐに疲れてしまうことに特に困っています。勿論、以前からある症状も続いています。
 このような状況なので就職もできず、今は家で資格を取得するために勉強をしています。

 新しいリーフレットに、症状が出た場合は協力医療機関などに相談するように記載がありますが、協力医療機関に行ってもきちんとした診療はなされず、機能していないのが実情です。

 また、副反応の深刻さが伝わりにくい表現が多いように感じます。これでは接種をした方がいいのか否か、適正な判断をすることは難しいと思います。適正な判断が出来ないと私たちのような被害者が増えてしまうと思います。

 接種対象者の方々に正しい状況をご理解していただいた上で接種をご検討いただけるようにしていただきたいです。

 各自治体には、国が言っていることだからという理由ではなく、私たち被害者と向き合っていただいた上で、どうしたらいいのか、責任を持って行動をして欲しいです。


 面談に参加した原告に付き添った母からも、副反応被害に苦しむ娘に何もしてやれないという無力感にさいなまれているという家族の思いをお伝えしました。

 

 お忙しい中にも関わらず、原告の声に耳を傾けて下さった全国市長会のみなさまに、心から感謝の念を申し上げます。

 

 これ以上HPVワクチンの副反応被害に苦しむ女性が増加することは、絶対に許されません。

 引き続き原告団・弁護団では、実際にリーフレットの個別送付事務に関わっていくこととなる全国の市区町村の関係者の方々に、被害の実態、さらには同じ被害に苦しむ女性が増えてほしくないという原告らの願いが伝わるように、活動を続けていきます。