NHKが被害者に取材しないまま一方的報道を行ったことに抗議し、面談を要請しました


2021(令和3)年3月4日

日本放送協会
会長 前田晃伸 殿

 

2021年3月4日「おはよう日本」 特集「HPVワクチンはいま」について

 


HPVワクチン薬害訴訟全国原告団
代表  酒井 七海
HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団
共同代表  水口真寿美
同   山西 美明
<連絡先> 東京都千代田区二番町12番地13 セブネスビル3階
樫の木総合法律事務所内   電話03(6268)9550
https://www.hpv-yakugai.net/

 

 2021年3月4日に放映された「おはよう日本」の特集「HPVワクチンはいま」を拝見して、国内外で様々な議論があり、訴訟も提起されている事件について、被害者側への取材が全くなされないまま、きわめて一方的な内容の番組が放映されたことに驚いています。


 番組では、ワクチン接種のリスクとメリットを正しく知り、判断することが大切であるとの意見を紹介しながら、本ワクチンの有効性の限界を示す情報や、検診という有効で安全な予防手段があることなどには触れない一方で、副反応の症状について「失神など」「頭痛、倦怠感など」としか伝えず、ワクチン接種との因果関係は証明されていないという被告国(厚生労働省)の見解だけを紹介し、被告国は現在も積極的な接種勧奨の中止を継続しているという事実すら伝えていません。そのため、視聴者にリスクはほとんどないに等しいと受け取られる内容となっています。

 

 HPVワクチンの副反応は、きわめて多様かつ多数の症状が一人の患者に重層的に現れる特徴を有することが報告されています。一部の患者については、被告国もHPVワクチンとの因果関係を否定できないと判断しています。治療法は確立しておらず、被害者の多くが現在も症状に苦しみ、進学や就職の大きな障害となっています。副反応を防ぐ方法はいまだに見つかっておらず、接種勧奨中止によって激減した接種者の中からも、新たな被害者が発生しています。番組では、こうしたことは一切分かりません。

 

 副反応が問題化し接種勧奨が中止されてから7年以上経過し、現在接種年齢に達した女子やその保護者には、副反応についての具体的な情報を知らない人が増えています。原告・被害者たちは、自分たちの被害があたかもないものであるかのようにされたまま、接種が拡大されることによって、自分たちと同じ被害者がまた増えてしまうことを強く危惧しています。

 

 今回の番組は、事実報道という観点からも、また放送の公平性・中立性の観点からも、きわめて問題があると言わざるを得ません。私たちは、「おはよう日本」において、原告・被害者に対する取材に基づき、原告・被害者が置かれている厳しい現状と、その意見を十分に伝える特集をあらためて放映することを求めます。

 

 つきましては、まず、原告団・弁護団の代表との面談の機会を設けて頂きたく、申し入れます。

 

以上