Q HPVワクチンが承認された過程には、どのような問題があったのですか?

 一般に医薬品の承認審査は、製薬会社から有効性と安全性を裏付ける臨床試験のデータをつけた上で承認申請がなされてから、審査が開始されます。ところが、HPVワクチンについては、まだ日本国内で臨床試験を行っていた段階で、臨床試験データは後から提出してもよいので、先に申請をするようにと、厚生労働省が指導しました。

 実際に承認審査を行った審議会では、多くの専門家から、HPVワクチンの有効性や安全性についての問題点が指摘され、承認は時期尚早ではないかといった意見も出されました。ところが、厚生労働省は、「次回になりますと3か月後になりますので、一旦ここで承認いただく。」と述べ、強引に承認に賛成するよう求めました。

 その結果、専門家から出された重要な意見については十分な検討がなされないまま、サーバリックス(グラクソスミスクライン社)は2009年に、ガーダシル(MSD社)は2011年にそれぞれ承認されました。

 申請前の段階から厚生労働省が申請を出すように指導したり、多くの専門家の指摘がありながら厚生労働省が承認を急いだ結果、有効性・安全性の確認が十分になされませんでした。