Q41 HPVワクチンが子宮頸がんの前がん病変を生じさせるリスクを減少させるものであり、死亡を含む重篤な有害事象の増加も認められないと結論づけた「コクラン・レビュー」の問題点について教えてください。

 2018年5月、コクランはHPVワクチンの有効性と危険性に関し、26の比較臨床試験を対象としたシステマティックレビューの結果を公表しました。

 しかし、有効性のレビューにおいては、子宮頸がんの前がん病変を生じるリスクの減少を認めた(ただし追跡期間は8年)としていますが、これはあくまで代替の評価指標にすぎません。このレビュー結果はこれまでの企業側の主張に新たな内容を付け加えるものではありません。

 また、危険性のレビューでは、HPVワクチン接種群は対照群と比較して重篤な有害事象の発現リスク増加は認められず、死亡においても有意な増加は認められなかったとしています。しかしながら、このレビューには、アジュバント入りのプラセボまたは他のワクチンを対照としており手法が適切でないこと、臨床試験における有害事象情報では多彩な症状を呈し長期間にわたって重層的に出現するという複雑な臨床経過をたどるHPVワクチン接種後の症状を捉えることはできないこと、ワクチンの危険性を示唆する数多くの論文を考察の対象としていないこと、疫学研究や国際機関、規制当局のレビュー等の批判的考察がないこと等のいくつもの問題点があります。

 その他にも、これまでにコクランがタミフル等について評価対象の適切な選択と批判的な吟味を怠ったため後に評価のやり直しをせざるを得なかったことの教訓が生かされていないこと、コクランのプレスリリースはHPVワクチンのリスク・ベネフィットバランスに疑問を呈する見解を理由もなく一蹴するなど中立性に疑いがあること、レビューの著者の半数以上がHPVワクチン製造企業との間で利益相反関係にあること等の問題点が多く存在します。

 当弁護団ではこのレビューの数多くの問題点が理解されないまま、ワクチンを推奨される人々によってレビューが利用され、接種後の被害で苦しむ人々を更に苦しめるようなことがあってはならないと考えています。

 「コクラン・レビュー」の問題点については、薬害オンブズパースン会議が詳細な見解を公表しています(「HPVワクチンに関するコクラン・レビューに対する批判的見解」「コクランレビューに対する批判的見解をコクランに送付」)。