提訴から5年を経た私たちの今-大阪原告10番

新型コロナ禍前の大阪地裁への入廷行動(2019年9月12日)
新型コロナ禍前の大阪地裁への入廷行動(2019年9月12日)

 リレー形式で提訴から5年を経た被害者の今の声を連載してます。

 先週の名古屋原告3番さんに続いて、今週は大阪原告10番さんです。

 

【大阪原告10番】

 

 私は22歳です。本来なら同級生たちと一緒に大学を卒業し、就職しているはずだった現在、止むことのない頭痛や激しい倦怠感、睡眠障害をかかえた通信制大学生です。

 

 中1の頃、自治体でHPVワクチンの公費助成が始まり、サーバリックスを3回接種しました。接種後から微熱、頭痛、腹痛が続き、徐々に激しい全身の痛みや倦怠感に加え、睡眠障害、吐き気、めまい、両腕・両脚の動作感覚異常、味覚障害、光過敏などの症状が現れました。学校へ遅刻や欠席を繰り返すようになりました。

 

 接種した小児科では心身症として精神神経科に紹介され、睡眠障害を治すため小児睡眠障害科に半年入院しました。早く体調を元に戻して仲のいい友人たちと以前のように学校生活を楽しみたいという気持ちもあり入院をしたのにも関わらず、担当医師と看護師からの【思春期特有の悩みからくる体調不良】だという前提での診察行為やカウンセリングなどに悩みました。様々な治療方法を試しましたが、多岐に渡る症状は一向に回復の兆しを見せないまま高校への進学が迫り、退院せざるを得なくなりました。

 

 そして中高一貫校だったため高等部に進級するもほとんど登校できず、半年後に留年が決まり、通信制高校に転校しました。翌年、総合病院に検査入院、そこではじめてHPVワクチン関連神経免疫異常症候群との診断を受けました。しかし遠方のため通院も大変で、急に体調が悪くなってもすぐに診てもらうことはできません。日によって体調の波があり、ひどい日は一日中寝込んで全く動けません。意識がなくなるほどひどい頭痛も月に何度かあります。

 

 あの時、学校から女子全員に自治体からの子宮頸がんワクチン予防接種案内が配られ、当然のようにみんな接種しました。保健体育の授業中も話題に上がり、接種していない生徒は手を挙げさせられ、先生からは「打てば検診も行かずに済むし、今後がんにかかる心配もない。打って損なんかしないから無料のうちに打った方がいい」と説明され、大人が、しかも保健の先生が言うことならば、と誤った情報も無条件に信じていました。

 

 いま、国が新たにHPVワクチンのリーフレットを作成し、世論も接種を勧める方向に変わってきています。しかし、国がまだ積極的接種勧奨を中止している事実や、サーバリックスの添付文書に「HPV-16型及び18型以外の癌原性HPV感染に起因する子宮頸癌及びその前駆病変の予防効果は確認されていない。」「本剤の予防効果の持続期間は確立していない。」と載っていることなど、ネットで調べればすぐに出てきます。

 

 接種対象者の皆さんには、私のように無条件に信じず、正しい情報をよく調べて考え、メリットやデメリットをわかった上で決断してもらいたいです。

 


次回は8月19日に掲載します。

 

HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団は、こうした被害者の声を、Twitter(@Hpvlawyer)やYoutubeでも継続的に発信しています。